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日帰り山形空の旅





はじめに


 山形には山形空港・庄内空港の2つの空港がある。 これまで山形へ行くのにもっぱら新幹線を利用していた自分にとって、空港はあってもなくてもいいような存在だった。 しかし、いつしか「たまには空を飛んで山形へ行ってみたい」という思いが湧いてくるようになった。 そして2000年の夏、ついに「思い」を実行に移す時が来た。

 当初、決行日は8月5日の予定だった。 大学の先輩A氏が山形県内の某駅でJR全線完乗の偉業を果たすというので、それに立ち会うべく、東京羽田から庄内行きの飛行機に乗って山形入りしようと考えていたのだ。 そして当日、羽田空港へ行ったまではよかった。 ところが、スカイメイトで空席待ちをしていた自分を待ち受けていたもの・・・それは「満席」という屈辱的な2文字だった。

 結局、この時も新幹線で山形へ行くことになってしまったが、いつしか・・・いや、近いうちになんとしてでも羽田から山形へ飛んでやる・・・という、そう、リベンジを心に誓ったのだった。 そして時期を見計らって9月8日に決行したのが、リベンジツアーとも言うべきこの「日帰り山形空の旅」だった・・・。



羽田空港へ


 羽田空港35番搭乗口  

 2000年9月8日金曜日、3:30起床。 即、インターネットでANAの空席状況を確認。 朝の庄内行きの便は席に十分余裕があることを知り、まずは一安心。 朝食をつまみ、身支度を整え、自宅を出発。 初電に乗り、羽田空港に着いたのが6:30。

 京急の改札を出て、目指すは2F出発ロビーのANAカウンター。 当日券の発売機にスカイメイトのカードを入れ、おそるおそる庄内行きのボタンに触れてみる・・・すると、(案の定)空席! この時点で勝利者となった。 リベンジ成功だ。

 搭乗する全日空895便(庄内行き・東京羽田7:35発)は、それほど恐れるまでもなく実は結構空いていて、窓側の席(28G)を余裕で確保できた。 この便はバス搭乗ということで、喜びをかみしめながらバス出発ラウンジへ向かった。



羽田空港→庄内空港


♪(MP3ファイル/238KB) 出発便のご案内をいたします。 全日空庄内行き7:35発895便ご利用のお客様は、ただいまより搭乗口35番からご搭乗ください。

 このアナウンスが流れるやいなや、35番搭乗口の前には長い列ができた。 自分もその列に混じり、リムジンバスに乗り込む。 それにしても、羽田空港の中を走るバスはワイドだ。 乗った感じではそうでもないが、この夏はじめてそのバスを見たときの感想が「うわ〜、タイヤが内側にめり込んでる!」。 でも、そんな独特の雰囲気が好きだったり・・・。

 庄内空港  

 ほどなくして、庄内行きの航空機の前に到着。 機材はB767-300。 機体後部のタラップから乗り、指定の座席28Gに座る。 今までAIR DO(北海道国際航空)しか利用したことのなかった身として、同じ767型機でありながらも中央付近にスクリーンがついていることに感激。 離陸の際、スクリーンに前方の様子が映し出される・・・というのは以前から聞いていたのだが、今まさにその映像を見ることができて感動。 まあ、そんなふうにひとりで勝手に盛り上がりながらも、7:50無事離陸した。

 この日は曇り空で、せっかくの窓際なのに下の様子がわからなかったのは残念だったけど、とりあえず満足。 まあ、着陸体制に入って雲よりも低くなったときはさすがに地上の景色が見えた。 というか、海上だった。 海から陸に向かって突っ込んで行くって感じで。 そして定刻8:35、庄内空港に到着した。



庄内→山形市内


 ターミナルビルを抜けて外に出ると鶴岡行きのバスが待っていた。 もっと空港を見ておきたかったのだが、すぐにバスが出るというので仕方なく乗車。 8:45、東京第一ホテル鶴岡行きの庄内交通バスで庄内空港を後にした。 空港を出るとすぐに車窓に広がるのが一面の田んぼ。 さすがは日本有数の穀倉地帯、庄内平野である。 そんな景色もやがて鶴岡市街の街並に代わり、鶴岡駅前に到着。 ここで降りた。

 鶴岡は、酒田とならんで庄内地方の二大都市に挙げられるだけのことはあって、駅前にはジャスコなどの大規模小売店をはじめ、商業ビルが建ち並んでいる。 しかし、駅前に着いたのが10:00前だったせいか、人通りは非常に少なく寂しかった。 とりあえずは庄交モールという庄内交通グループのバスターミナルを目指す。 鶴岡ではこの庄交モールがバスの起終点となる場合が多く、次に乗る山形行きのバスもここが始発となっている。 駅前で見かけた庄交モール行きのバスの後を追いかけて行ったら、迷うことなくあっさりとモールに着いてしまった。

 山形駅東口  

 庄交モールにはダイエーの店舗が入っていて、1Fの一角がバス乗り場(待合室)という形になっている。 モールに着いてもまだ10:00前だった。 自分はてっきり山形行きのバスが10:15に出ると思っていたのだが、待合室の時刻表を見ると今度のバスはなんと11:00発。 以前山形に来たときに入手していたバス時刻表は古かったようだ。 ちょっと誤算だったが、11:00までの1時間は待合室のテレビのおかげで退屈することなく過ごせた。

 11:00、山形駅前行きの山交バスで鶴岡庄交モールを後にした。 この鶴岡−山形線は庄内交通・山交バス共同運行の都市間高速バスで、この便は山交バスだった。 バスは国道112号線にのって一路山形方面へ。 月山の麓あたりでは工事のために車線規制がかけられていた。 そのためドライバーから、山形には遅れて到着する見込みとの放送が。 まあ、山形では時間はたっぷりあるのであせらず山並みを眺めながらのんびりとバスに揺られていた。 途中、山形自動車道を通り、山形駅前に着いたのは13:30頃だった。



山形市内→山形空港


 山形駅前でバスを降り、まず向かった先は山交ビルバスターミナル。 鶴岡庄交モールと同じく駅前にあるわけではないのだが、山交ターミナルは何度となく利用しているので、なんの迷いもなく直行。 山交ターミナルは山交ビルの1Fにある。 そして山交ビルにはダイエーの店舗が入っている。 庄交モールのダイエーといい、山交ビルのダイエーといい、山形のバスターミナルとダイエーにはなんらかの相関関係があるのだろうか?

 山交ビルバスターミナルの営業所で空港線のバス時刻表を入手。 それによると今度のバスは山交ビル17:00発。 今はまだ14:00前。 あと3時間。 何をして過ごそう・・・。 とりあえず市街をぶらつくことにした。 そしてぶらついてる途中におなかが空いていることに気がついた。 そこでたまたま見つけた「餅屋」に入った。 餅屋といっても店先に「そば」とか「冷しラーメン」と書いてある幟が立っていて、その「冷しラーメン」の文字に惹かれて入ったのである。 店の中のお品書きをみると「力餅**」と書いてあったので、たしかに餅屋ではある。 出てきた冷しラーメン、見た目にはフツ〜のラーメンである。 山形名物の1つということで、前々から食べてみたかった。 実際スープを口にすると・・・冷たい!美味しい・・・でも、個人的にはあつあつのラーメンでいいような・・・

 山形空港  

 ラーメン屋・・・いやいや餅屋を後にして、再びぶらつきはじめた。 本屋に立ち寄ったり、駅の待合室で過ごしたり、駅ビル「メトロプラザ」1Fの名店街で土産物を買ったり、そうこうしているうちに時間は過ぎ、最終的に山交ビル1Fの休憩広場でバスを待っていたら時間になった。 乗り場に移動すると山形空港行きの特急バスがやって来た。

 バスが山交ビルバスターミナルを出発した時点で、乗客は自分を含めて5人。 大型のバスで乗客はこの程度なのかと思っていたら、山形駅前で10人ちょっと、さらに続くバス停からも数人ずつ乗ってきて、山形市役所を過ぎた時点で結構な数の客が乗っていた。 バスは国道13号線を北上するが、夕方の道路ラッシュのためか渋滞でなかなか進まなかった。 早起きがたたってうつらうつらしていると、いつの間にか渋滞を抜けていて、17:55頃山形空港に到着。 定刻よりおよそ10分遅れた。



山形空港→羽田空港


 これから羽田へ飛行機で帰ろうというわけなのだが、出発時刻までには十分余裕があるにもかかわらず、気持ちの上では焦っていた。 山形と羽田を結ぶ便は1日1往復しかない。 その羽田へ向かう今日最初で最後の便に乗るのだが、まだ航空券を買っていなかったのだ。 もともとスカイメイトで乗る予定だったので予約ができないのはしょうがないが、空席かあるのかそれが唯一の気がかりだった。 もしも予約が満席で空席待ちをしてもダメだったら・・・空席待ちでヘタに最後までねばっていたら、最終の山形新幹線にも乗り遅れるかもしれない。 そしたら・・・。 最悪の状況は考えたくなかった。 運を天にまかせるしかなかった。

 「28A」窓側の席。 これが今日2度目となる勝利の番号だった。 そう、席は余裕でとれたのだ。 しかも窓側を。 まあ、連日インターネットで空席状況を調べて全日空810便(東京羽田行き・山形19:05発)は満席になることはないと確信していたのだが、いざ現地に来てみると心配で心配で。 不安の呪縛から解き放たれ、解放感でいっぱいになった自分は空港内をくまなく見てまわった。 ちなみにカウンターはANA・JAL・JASの3社分あるのだが、このとき営業しているのはJASだけだった。

 搭乗手続きがはじまり、2番搭乗口からボーディングブリッジを渡って機内に乗り込んだ。 今度の機材はA320。 初エアバスである。 19:15山形空港を離陸。 外はもう真っ暗だが、その暗闇に浮かぶ滑走路の誘導灯がなんとも鮮やかで印象的だった。 そして定刻20:05、羽田空港に到着。 空港からは京急に乗って家に帰った。


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